先祖調査も広い意味では歴史学の一環です。そこで、歴史学ないし日本史のアカデミックスキルを磨く必要があると考えられます。そこで、このページでは、しっかりとした先祖調査をする上で有益な、日本史学に関する本を紹介いたします。なお、随時更新いたします。
日本史専攻の授業
様々な大学の日本史専攻の授業を整理すると、概ね次のようなものが設置されています。
史学概論
史料学・古文書学
日本史概説(古代・中世・近世・近現代)
日本史特殊(テーマ史)
史料講読
日本史演習(ゼミ)
考古学
民族学・人類学
民俗学
この他に歴史情報学などといった科目が設置されている大学もあります。
歴史学・日本史学の書籍紹介
史学の基本を身に付ける
1.村上紀夫『歴史学で卒業論文を書くために』創元社(2019年)
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史学研究の基本的な方法論が詰まっており、しかもわかりやすく、親しみやすい語り口で説明されています。
先祖調査を始める際の心構え、史料の集め方、史料が集まってきてからの処理の仕方などの重要かつ基本的な説明があります。「自分は論文までは書かないから」などといって間違いの多い冊子を作って親戚に配り、子孫に誤解を残すということのないよう、手始めに読むべきだと思います。
2.遅塚忠躬『史学概論』東京大学出版会(2010年)
大学の歴史学専攻の学生にとっての基礎的な科目「史学概論」で現在教科書ないし参考書として挙げられている書籍です。歴史学の方法論が詳しく解説されています。ただ、かなり詳しい書籍ですので、先祖調査を始めた人がいきなりこれを読むというのは大変でしょうから、先の『歴史学で卒業論文を書くために』を読んでから読むのがいいでしょう。
古文書を読む
3.佐藤進一『新装版 古文書学入門』法政大学出版局(2003年)
東大や慶應などの大学の古文書学の参考書・教科書に指定されている書籍です。
史料のうち受取人が読むことを想定した文書が古文書であり、古文書学では、古文書に関する体系的な知識、読解力、古文書の扱い方を学びます。
先祖調査をする際には、宗門人別帳といった古文書の調査を行いますので、古文書学の勉強をしておくべきです。
ただ、崩し字の読み方の訓練は本書だけでなく、以下に挙げるような書籍も活用しましょう。
4.苅米一志(日本史史料研究会監修)『日本史を学ぶための古文書・古記録訓読法』吉川弘文館 (2015年)
古文書では変体漢文(日本語を漢文風に書いたもの)がよく書かれていますが、これを読み下す技法を学べます。
5.新井敦史『武士と大名の古文書入門』天野出版工房 (2009年)
武家文書を読むために有益だと思います。
6.油井宏子シリーズ
油井宏子氏は崩し字の読み方の解説本をたくさん出版されており、お近くの図書館でも配架されていると思います。
7.児玉幸多『くずし字用例辞典 普及版』東京堂出版 (1993年)
東大や慶應などの大学の史料読解を行う授業の参考書に指定されている書籍です。